ウィリーやウィリーサークル、ストッピーなどバイクスタントの練習を重ねていく中で、バイクを倒してしまうことは日常茶飯事。練習を重ねれば重ねるほどバイクを倒してしまう確率が高くなりますし、レベルの高い技を練習し始めるとほぼ毎回バイクを倒すことになります。スタントケージをつけていない車両では、バイクを倒した時にクランクケースが割れてしまい修理が大掛かりになることや、エンジンオイルや損傷した破片など放置してしまうと、練習スポット潰しになりかねません。練習場所・愛車を守るためにもスタント練習をされる際はスタントケージの取り付けを強くお勧めします。もちろん、普段街乗りで乗られているバイクにも万が一のために取り付ける価値はあると思います!
スタントケージとは?
スタントケージ(Stunt Cage)とは、バイクを転倒させた際に車体本体が地面に直接接触するのを防ぎ、代わりの擦れるように設計された、主に丸棒を加工し用いられて作られた保護パーツを指します。
この丸棒には中空丸棒と中実丸棒の2つのタイプがあります。これらの強度は、仮に曲げモーメントを考えた時に断面二次モーメントが大きい方が強度が高いと言えるので、断面積の大きい中実丸棒タイプの方が外力に対する耐久力は高いということになります。しかしながら主流は中空丸棒タイプのものが多く、重さという欠点が響いているのかなと考えます。
スタントケージには大きく分けて2種類あり、エンジン回りに装着するメインケージ、タンデムステップのあたりに装着するサブケージがあります。これらのケージは装着させる車種や年式によって精密に作られているので、自身の車両の適合性をしっかりと判断して購入する必要があります。また、用途や仕様によって形状が異なり、画像のタイプはステップを用途としたものがついています。ほかには、スクレイプで使用するチタンやマグネシウム合金を取り付けられるステー付きの物もあります。この記事では各種有名メーカーの紹介と、実際に触ったことのあるメーカーは商品のレビューも交えて書き記していこうと思います。
スタントケージメーカー紹介
Crazy Iron
Crazy Ironはラトビアを拠点とするスタントパーツのメーカーです。対応している車種は日本車、外車ともにありますが、日本車の数はあまり多くありません。一方で上の画像のような2000年初期の車種も現在販売されていたり、KTMやBMWといったスタント車としてはあまり馴染みのないメーカーのケージも取り扱っています。筆者個人の感想としては脛に当たること、重くてでかいなど少しマイナスなイメージがあり、正直あまりお勧めできません。。。価格帯は車種にもよりますが€310-430、日本円にするとおおよそ5万円から7万円とやや高めになっています。
Dark knight street
Dark Knight Streetはタイに拠点を置くスタントパーツ販売メーカーです。Dark Knight Streetの特徴は何といっても発送の速さと価格が安いことです。日本では馴染みのある低排気量用の商品を多く販売しています。上記の画像はNinja250R用のメインケージで、価格は日本円で25,000円ほどです。また、サブケージも販売しています。テールスクラッチなどで使用するチタンをサブケージとセットで購入することが可能で、JC92 Gromの場合だと2万円ほどでサブケージとチタンを購入できます。以前、純チタン丸棒をテールスクラッチ用に加工しましたが、加工も難しく歩留まりもあまり良くない上に非常に高価なので、手っ取り早く火花散らして遊びたい人には非常におすすめです。メインケージはバイクを倒すごとに歪んできますが、排水溝など使って気合で曲げればかなり長持ちします。初心者にはおすすめのスタントケージです。ただし、作りはまあまあ雑です。付属のカラーなども使いにくいことがあるので、安さの代償だと思って根気よく取り付けてください。JC92のサブケージのカラーはだいぶ苦戦するのでワッシャーで代用することをお勧めします。
Dixer Parts
Dixer Partsはポーランドを拠点としているメーカーで、スタントケージを始め様々なスタントパーツを販売しています。Dixer PartsのHPで印象的なことは、各メーカー、車種、年式が見やすいことはもちろん、CBR600F4iやGSX-R 600 K4/K5といったスタント草創期を代表するバイクのパーツも現在販売しています。またこのZX-6R 19-24年式のメインケージは€249、日本円で約4万円と比較的リーズナブルな価格で購入できます。ご存じの方も多いとは思いますが、実はバイクスタントはヨーロッパの方がアツいんです。Dixer Partsはヨーロッパでのシェア率が高いので、安心して購入できる老舗メーカーです。
Cock’s stunt parts
メインケージばかりになったので、次はサブケージの画像を引用してきました。
Cock’s stunt partsはアメリカ合衆国ケンタッキー州に位置するスタントパーツショップで、主にスタントケージや12Bar、ブラケットなど様々なスタントパーツを製造、販売しています。Cock’s stunt partsのロゴにはCSPと表記されており、Cock’sから連想されるニワトリが混ぜ込まれたロゴになっています。品質は申し分ないほど良いのですが、円安の影響もあって2024年現在ではこの画像にあるR7用のサブケージは$420、メインケージも$350と、日本円にして約5~6万円と円安を考慮すると高価ですが、安価な部類ではあると個人的には感じています。円高になったらおすすめのメーカーです。
MK-stunts
MK stuntsはアメリカ合衆国テキサス州にあるスタントパーツメーカーです。上記のGromのサブケージは中実丸棒で作られており、手に取るとずっしりとした質感から高い強度を感じ取ることができます。またステップは既に滑り止めのシールが貼りつけられていたのも好印象でした。上記画像はチタンのステーなしのラウンドバーですがチタン付きバージョンもあり、チタン付きで$295、無しのラウンドバーで$235、日本円にすると35,000~40,000円と円安で高価に見えるものの、安価なパーツだと思います。Dark Knight StreetのケージをGromで使い倒した後の買い替えなどにおすすめです。
Impaktech
スタントをあまり知らない方でも、Impaktechは聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?私の有人はあの攻撃的でトゲだらけのステップに刺さってしまい、ステップのデザインがプリントされたような傷が足に刻まれていました。。
そんなことはさておき、Impaktechはアメリカ合衆国カリフォルニア州にあるスタントパーツメーカーです。こちらのメーカーの取り扱い車種はかなり豊富で、アメリカながらNinja250やYZF-R3などの中排気量のパーツを販売しています。引用しているMT-07のメインケージは$495、日本円で約7万円と残念ながら円安の現在では高価になっています。
Impaktechのケージは個人輸入している方が日本にも多くいるので、フリマアプリや中古バイクパーツショップなどに行くと、しれーっと売ってたりします。値段も半分以下だったりするので注意してみてみるのも面白いかと思います。某有名中古バイクパーツショップの本店にはYZF-R6のケージが置いてありました。。
On point
最後にご紹介するのがOn Pointのスタントケージになります。このバイクを見て誰のバイクかピンとくる人もいるかもしれません。実はこの人もOn Point製のケージを使用しています。On Pointはアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするスタントパーツメーカーです。このメーカーの製品には、OPと書かれた特徴的なロゴが入っています。ダンパー付きのモデルもあり、デザインもカッコよくて他人と被らないのでおすすめです。価格はすべてのモデルのダンパー付きメインケージで$499、日本円で約7万円弱とImpaktechと変わらないような値段になっています。
まとめ
以上、スタントケージを販売している7種類のメーカーを紹介いたしました。円安の影響を受けまくっている2024年では、アメリカ製のスタントパーツは本当に値が張って手が出ません。。一方、Dixer PartsのあるポーランドやDark Knight Streetのあるタイなどは、現在円安の影響を受けていないので今の時期はスタントパーツの購入先をアジアやヨーロッパにシフトするべきなのかなと思います。Dixer Partsであれば、キャリパーサポートやハンドルのクランプ、スプロケなども割安で購入できますからね。
スタントパーツをご購入の際は、購入先HPに表記してある適合をよく確認して購入してください。
また今後の投稿で、個人輸入の詳しいやり方を説明したいと思います。