リアタイヤが宙に舞い、フロントタイヤだけで走り続けるストッピー(Stoppie)
初めて見たときは何が何だか理解できないですよね、僕も最初見たときはかっこいいと思いましたが、訳が分からなかったという印象が強いです。
しかしながら、ウィリーの基礎知識があれば意外と単純な動作であると説明できちゃうんです。めっちゃ難しいんですけどね。
まずは、ストッピーの中のバイクの挙動と乗っている自身の感覚を、図や言葉を用いて説明していきたいと思います。
また、ウィリーの基礎知識を持っていることを前提に説明します。
ストッピーのやり方だけ手っ取り早く見たい人は下にスクロールしまくってください。
ストッピー中ってどんな感覚?原理は?
急にストッピーをやろうと思っても、その技がどのような理屈で成り立っているのか理解できていなければ、その技を成功させられないうえに上達もあり得ません。
たまたまやって出来るようなものではないことはお伝えしておきます。技の理解と段階を踏んだ練習が必要です。
どこかの記事でも説明しているかもしれませんが、ウィリーもストッピーも力のつり合い(力のバランス)で考えることができます。
ウィリーに限らずですが、バイクが安定しているときは様々な力が無理なく釣り合っている状態です。
ウィリーもストッピーも不安定な状態をあえて作り出し、安定な状態に持って行こうとします。
ストッピー中における力のつり合いを簡易的に図示化したものになります。(矢印にベクトル量などの意味は含んでません)
もっとイメージ付かない人のために、身近な物を使ってこんな方法で再現してみました。
ぶっ飛んだこと言うと思いますが、これがストッピーであり、ウィリーです。結構真面目に言ってます。
さて、一つ目の画像から順に説明していきます。
ウィリーとストッピーに共通する重要なポイントとして、軸が挙げられます。
一つ目の画像では黄色線で表しています。この軸を基準とした力の配分から車体の安定度合いが決定されます。
この黄色の軸線に対して左側にある青の矢印は、バイク自身の車重が地面に落ちていこうとしている力です。
一方右側の紫の矢印は、ブレーキなどによって生み出された、バイクが黄色軸を起点にして前方から地面に落ちて行こうとしている力です。
安定したストッピーはこのように力が限りなく釣り合った状態であるため、ブレーキを握っているのにもかかわらず、すーーっと前に進んでいくような感覚があります。
この現象を、転がるなんて表現したりすることがあります。
そんな前提知識を持った後にペットボトルの写真を見返すと、あぁ~~ってなった人もいるのではないでしょうか?
このペットボトルにも同じことが言えます。
私が伝えたかったのは斜めに安定する角度があって、それはペットボトルでも表せるんだよってことでした。
では、どのようにその転がる角度を維持させていくのでしょうか。
ちょっとフライングでお伝えしますが、ブレーキ操作と重心移動が重要になります。
ストッピーと慣性の法則
普段街乗りしているときなんかでも強めのブレーキなんか握ると、前につんのめるような感覚がありますよね。
これは中学生の時に理科で出てきた、慣性の法則が関係しています。
ブレーキを握った時にバイクは減速し始めます。バイクはブレーキを通じて運動エネルギーを摩擦によって熱エネルギーに変換しながら、その制動力をタイヤ、地面を伝ってバイクそのものの車速を落とし始めます。
しかし人間はどうでしょう。バイクのブレーキを握ったところで人間自体の速度を落とすものはありません。これが人間が前に飛ばされそうになる原因です。
緩やかな減速であれば、バイクから放り出されることはまずありません。
さて、ここまで慣性の法則をおさらいしましたが、これがどのようにストッピーに関係してくるのでしょうか、、、
慣性の法則を用いて意図的にリアタイヤを前に吹っ飛ばす!
前章で説明したブレーキをかけると前に行こうとするやつ、その名も慣性の法則ですが、こいつをうまーく使います。
先ほどの説明では、人に対する慣性の法則を題材にして説明しましたが、もちろんモノにも適用できます。
さて、ここから先はイメージがすごーく大事になります。頭を柔らかくして妄想しながら記事を読んでみてください。
説明した慣性の法則を踏まえて、バイクにおける慣性の法則をを考えてみましょう。
緑の矢印は減速することによって生まれる力、紫の矢印は減速しようとしているフロントタイヤを軸とした前方向に進もうとしている力、つまりモーメントです。
もう少し簡単に考えてみます。
フロントブレーキを握ると、当たり前ですがフロントタイヤの部分のみ減速する力を生みます。
しかしながらリアタイヤはブレーキをかけていないので、前に行こうとします。
この時、フロントタイヤを軸にしてフロントが沈み、リアが上がってくる挙動が出てきます。
これを、ピッチングと言います。詳しい定義などは自身で調べてみてください。
この画像はリアタイヤを上げ始めた瞬間であり、ピッチングの様子がよく分かる画像です。
フロントタイヤに荷重が移動して、フロントフォークが大きく縮んでいる様子が見て取れます。
この慣性の法則で生み出したピッチングを最大限に生かすことがストッピー成功のカギとなります。
では次にやり方の解説です。
ストッピーの方法・手順
ストッピーに必要なものを書き記します。
- しっかりグリップするフロントタイヤ
- しっかり効く整備されたブレーキ、ブレーキマスター
- 砂利などがあまりないタイヤが滑らない練習環境
- 気合
まず一つ目から、しっかりしたタイヤを履いてください。うんこタイヤは簡単にタイヤロックします。
しっかり効くブレーキを用意してください。フルード漏れてるとかエア噛んでるとか、ブレーキそもそも効かないとか論外です。効くように整備してください。
練習場所に関して、初めての場所であれば、軽くストッピーの動作をやってみて、フロントが滑らなければ徐々に速度と角度を出して試しながら様子見してください。舗装されたコンクリは大体やりやすいです。
最後に気合です。ストッピーはウィリーと違い、ある一定の釣り合わない角度を超えてしまうと帰ってこれません。つまりバイクに潰されながら前に倒れるということです。これを畳むと言ったりします。逃げることもできますが、体格やハンドルのセッティングによっては逃げられないこともあるので、プロテクターは必需品です。
次に手順を記します。
- 任意のギアでレブリミット近くまで回転数を上げる
- レブリミット寸前になったらアクセルオフして、腕を伸ばして体重をハンドルに乗せるイメージで重心移動を行い、また同タイミングでフロントブレーキを握って転がる角度に入れる。
- 角度を維持するようにフロントブレーキで微調整、またバイクがふらつかないように体全体でバイクの動きをまっすぐにするイメージ。
- クラッチを握って着地(ストレートの場合)
以上が簡易的ですが、ストッピーの手順になります。
ここで肝になるのがストッピーの角度です。冒頭からお伝えしている通り、転がる角度に入れることがストッピーを行う上でとても重要です。また、ストッピー180など発展した技を行う際にも、基礎技の精度が大事になってくるので、この角度を意識した練習は必ず行ってください。また、浅い角度のストッピーはダサいし長く続きません。
レブリミット近くまで回転数を上げる目的として、エンジンブレーキをピッチングに使うこと、またストッピー中の車速を稼ぐことにあります。また余談ですが、大きい音を出した方が迫力が出ると大先輩が言ってました。
また角度が浅いと車速を上げて生まれたエネルギーが、リアタイヤを持ち上げる所に使われずフロントブレーキに吸収されてしまいます。
また、コツや上達が早くなる(?)練習方法は別記事で投稿しますので、しばらくお待ちください。
まとめ
以上、ストッピーについての説明でした。
細かい所は違いますが概ね、ストッピーもウィリーも原理は変わりません。
しかしながら技の危険度と怪我の重症度で考えると、ストッピーの方が高いと個人的に感じます。
今後ストッピーの練習をする際は必ず、プロテクターを装備したうえで練習して頂ければと思います。
別記事でストッピーのコツ・おすすめの練習方法など詳しく説明できればと思います。